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説明的文章は、文章構成をとらえる練習と筋道をとらえる練習をくり返すことが肝要である。構成のはっきりした文章からスタートし、それらを基礎としながら構成が形としてあらわれない文章にまで対応の範囲を拡大するという方法をとるとよいだろう。私が生徒に教えるときは、そのような流れで段階を経て学んでもらうようにしている。

 

 

もっとも、読書はそうした受験ノウハウを身につけることよりも、素材文からさまざまな背景的知識を獲得、蓄積することにある。
できるだけたくさんの識者の考え方に触れるのが効果的であるし、家族で同じ本を読み、討論することでテーマが深く浸透するだろう。


説明文/推薦図書ランキング

 

 

人工知能は今後要注意のテーマです!


 

 

「東ロボくんプロジェクト」を主宰する新井紀子氏の著です。2018年度入試で「人工知能」時代に必要なことをテーマとした文章が、海城中学校を筆頭に多く出題されました。「AI時代において、あなただけの持ち味は何か、あなたにしかやれない仕事は何か?」という問いに対して自分なりに答えられるようにするなど、テーマ学習をしておくとよいでしょう。

 

著者は、東ロボくん(AI)の東京大学合格を目指すプロジェクトを断念。そのことからも「シンギュラリティ(技術的特異点)」は短絡的な議論であるとの立場をとっています。シンギュラリティはいずれ到来すると主張する学者もいるので、両者の主張のどちらを支持するのかを親子で話し合っておくこともテーマの理解を深めることにつながります。

 

シンギュラリティ(技術的特異点)とは?
人工知能の権威、レイ・カーツワイル氏が唱える説。二〇四五年頃に科学がこれまでには考えられないほどの革命的進歩を遂げ、人工知能が知的生命体となるような驚異的な現象が起こる。人工知能の発明が人類最後の発明になるとされ、シンギュラリティの到来以降の未来は予測困難とされる。

 

 

 

 

 

 

 

背景的知識を蓄える 命ときずな・寄り添うこと


 

 

 

 

 

 

2014年度日本女子大付属中学校の入試問題の素材文として用いられました。
震災関連の素材文、または、それに関連した素材文(命ときずな・寄り添うこと)、さらにそこから延長・拡大される出題は増加傾向にあります。
それぞれの著者から鋭く投げかけられる問題提起にそって考えることで、入試に必要なお子様の背景的知識を育てることができる一冊です。

 

 

 

 

 

 

複数の著者が一つのテーマで議論 やさしい語り口調が読みやすい


 

 

『いまを生きるための教室』シリーズ
(池田晶子・秋山仁 他著)

 

『いまを生きるための教室 死を想え』

『いまを生きるための教室 今ここにいるということ』

『いまを生きるための教室 美への渇き』

 

複数の著者がサブタイトルにある一つの大テーマの下で持論を展開
そのため、一つひとつを読み切りやすいのが特長です。「君は考えたことがあるかい…」などと、語りかける口調でまとめている著者が多く、親しみやすいのもおすすめのポイント。

 

 

 

 

読みやすい文体・口調でつづられていますが、文庫本のため、文字サイズが小さめであること、読書習慣のまったくない子、国語が苦手なお子様に、いきなり・・・・ではハードルが高いでしょう。
ですが、読書習慣のある子なら、ほど良い難しさで手応えを感じながら読むことができます。
ページあたりの文字数も少なく、この点も読みやすいポイントでしょうか。

 

 

 

 

なお『いまを生きるための教室 死を想え』の中の島田雅彦氏の文章が、サピックスの2015年度・4月マンスリーテストに出題されています。

 

 

 

 

 

内山節氏の文章は入試頻出!

 

 

 

 

 

 

都市部と農村(群馬県上野村)の行き来の生活の中で著者が確立した思想は、現代の行き過ぎた文明に対する警鐘となっています。
同氏の文章は中学・高校入試問わず、かなりの数が出題されています。著者の思想を読み味わうことは、中学入試国語の必須テーマの理解にもつながるのかもしれません。 

 

 

より深化した内山氏の思想は、最新刊「いのちの場所」に綴られています。
「死んだらすべてがなくなってしまうのか。」「なぜこの世には不平等な生があるのか。」著者の山深い森での思索から導かれた答えがこの中にあります。

 

 

 

 

 

 

食の問題は現代を語るうえで欠かせないテーマ! 入試でも問題提起されやすい

 

 

2013年の東海大相模中が出題。
各年度単位での入試出典ランキングにはランクインしていませんが、
直近数年を単位としてみると、多数の学校が出題しており、出題頻度の高さがうかがえます。